三宅洋平は安倍総理の「コバンザメ」じゃない

[この記事のまとめ]
・三宅氏は安倍総理のコバンザメではありません。
・しかし、沖縄高江ヘリパッド反対運動の現場の方々にきちんと謝罪するべきです。
・三宅氏は社会の「構造」を問題にしている点で評価できます。
・一方、陰謀論などに傾きがちな点には大きな危険もあります。
・彼が社会的責任を自覚した上でのびのびと活動をすることを期待します。

  *  *  *

参院選に二度の立候補をしたミュージシャンの三宅洋平氏が、安倍総理の夫人である安倍昭恵氏を、沖縄高江のヘリパッド建設反対運動のテントに案内をしたことが、ネット上で波紋を広げています。

今回は、昭恵氏が帰ったあとで、反対運動の現場の方々との対話の中で三宅氏が言ったとされる言葉、
「すべて安倍の意図とは限らない」(onoyasumaro氏のまとめによる言葉)
について考えてみます。

参院選の翌日からヘリパッドの建設再開を強行し、今までにない強圧的な姿勢を日本政府が取っているときに、総理大臣である安倍晋三氏について、「すべて安倍の意図とは限らない」と反対運動の現場の方々に対して言うというのは、普通に考えて、ありえない発言でしょう。

ただし、同じ現場での対話のIWJによるまとめでは、これに相当する言葉は「安倍総理が全部決めてスイッチを押しているのではない」ということで、若干ニュアンスが違ってきます。

いずれにせよ、安倍総理の名のもとに行われている工事の強行などにより、直接・間接に被害を受けている方々に向かって言っていい言葉とは思われず、昭恵氏を同行して現場を混乱させたことに加え、こうした発言をしたことについても、三宅氏はきちんと謝罪すべきだと思います。

しかしながら、安倍総理を擁護しているかのように見えるこの発言をしたことをもって、三宅氏が安倍総理の政策に賛同していると考えるのは、まったく軽率なことではないでしょうか。

三宅氏は、自民党政権ならびに日本の官僚機構が行なっている政策の実行について、必ずしもすべてを総理大臣が把握しているとは限らない、という一般論を述べているにすぎません。

「主流派」である安倍政権を批判する「反主流派」の人々は、ともすれば「安倍総理や自民党が悪」であって「安倍総理と自民党を倒せ」ばよいかのような考えを振りまいています。

しかし、そのようにして「外部の敵」をやっつけることが仮にできたとしても、それだけでは決して本当に自由で民主的な社会の実現につながらないことは、すでに歴史が証明しているように思えます。

その点、三宅氏は、社会自体が持つ「構造」の問題を意識しており、彼のそうした感性には将来性を感じます。

一方で、現時点での三宅氏は、「田布施システム」や「金融ユダヤ人」といった陰謀論的、人種差別的発言をしていることについての自覚が足らず、今後も様々な問題行動を起こす危険性もあります。

三宅氏の自由な発想、自由な行動を束縛することなく、社会的な責任について彼が自覚する手助けになれるよう、今後も批判的に応援するべく発言を続けていこうと思います。

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