楽しいカルマの落とし方 - オウム真理教について一言

以前、別のサイトにも書きましたが、過去生の因縁としてのカルマ(業)というものは、ぼくは信じていません。

その代わり、あなたが、お母さん、お父さんから受けた影響、また、お母さんやお父さんが、そのお母さんやお父さん(あなたから見れば祖父母ですね)から受けた影響、そして更にそのまた、そのお母さんやお父さんからの影響、というふうにいくらでも遡っていける先祖代々から受ける影響のことをカルマとして第一に考えたらよいと思っています。

また、持って生まれた素質や、育つ過程で周りの人たちから受ける影響もカルマとして考えられます。

つまり、こうした過去からの影響全体を、カルマとして捉えることができますので、以前書いた記事の続きとして、こちらこちらにも書きましたが、この意味でのカルマを落とすためには、まず自分というものをしっかりと見ることが必要で、そのためには、呼吸法や瞑想法の実践が役に立つわけです。

さて、「カルマ落とし」という言葉は、オウム真理教が使ったことで有名になった経緯があります。

しかし、その使い方というのは、「苦行をさせてカルマを落とさせる」とか、「自分の身に悪いことが起きたらカルマが落ちるので喜ぶべき」とか、果ては「悟りを開いた者が他者を殺すことでその人のカルマを落としてやる」などといった大変乱暴なものであり、その挙句に、地下鉄サリン事件を引き起こしてしまい、死者13名、負傷者6,300名にも及ぶ被害者を出し、20年以上を経過した今でもPTSDなどの後遺症を多数の方が抱えておられることを考えると、なんとも痛ましい限りで言葉もありません。

カルマに関わるこうした乱暴な考え方は、世間の多くの人からすれば、愚かしい限りのものでしょうが、多数派の中に入ることができず、悩みを抱えながら日々を送っている人たちの中に、甘い誘いにそそのかされて、そうした悪魔的な道にうっかり足を踏み入れてしまう者があったとして、単純にその人を責めて問題が解決するとは思えません。

そうした人にも、もちろん責任(解くべきカルマ)はありますが、それと同時に、時代全体がおうべき責任(カルマ)があるように思えます。

ナチスドイツのヒトラーにせよ、オウム真理教の松本智津夫にせよ、こうした「怪物」を生み出してしまった時代精神というものを、しっかり認識することが何より大切なことだと思います。

そして、ぼくら一人ひとりが、同時代を生きるものとして、自分なりの責任というものを受け止め、自分自身のカルマを落としていくことなしには、こうした問題を解決していくことはできないのではないでしょうか。

「苦行でカルマを落とさせる」というような乱暴な考え方ではなく、ふと気がついたときに深呼吸をしてみる。そんな気軽なやり方を出発点にして、楽しくカルマを落としていきたいものではありませんか。

なお、オウム真理教および地下鉄サリン事件については多くの本がありますが、事件についての論評や価値判断を控え、実際に被害にあった方の証言を聴くことに徹した、村上春樹氏の労作「アンダーグラウンド」をおすすめしておきます。

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