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本の紹介: アーノルド・ミンデル「大地の心理学」、プロセスワークと瞑想の幸せな融合

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アーノルド・ミンデルは、ユング派の心理学を発展させたプロセス指向心理学 (プロセスワークとも呼ばれます) の創始者で、アメリカのセラピスト、グループワーカーです。 プロセスワークは、 ○人間の無意識が体の状態や様々な行動に現れることに注目し、 ○人間の行動を、意識のレベル(一次プロセス)と無意識のレベル(二次プロセス)の二つの重ね合わせとしてとらえ、 ○この二つのレベルにおける、多様な欲求間の葛藤を意識化することによって、統合的な人生を生きるための方法を提供してくれるもの と言えましょう。 日常的にわたしたちは、他者との関係性においてさまざまな葛藤を感じています。 夫婦の間で、あるいは親子として、そして友だち同士や、仕事上の人間関係の中で、自分の思い通りにならないことや、思いもよらない問題に直面します。 そうした「問題」について、わたしたちは普通、表面的な部分だけを見て、言葉のレベルで問題をとらえて、それに対処しようとしてしまうことが多いのですが、そうした「浅い」反応ではうまく対応ができない事態というものもしばしば生じるものです。 本書では、自分の無意識にアクセスすることによって、そうした人生におけるいろいろな「問題」に対応するための、自分一人でもできるセルフワークのやり方が、プロセスワーク的な考え方とともに提示されています。 *  *  * 邦訳のタイトルは「大地の心理学」となっていますが、原題は "Earth-based Psychology" 、「大地に根ざす心理学」くらいの意味です。 ここで「大地」という言葉が使われていることによって、 「わたしたち人間は、大地の存在なしには生きることもできない」 という、先住民族の社会においては、当たり前に意識されていることが、現代社会を生きるわたしたちにとっては、ともすれば忘れられがちになっている現実に思いをはせることができます。 ミンデルは、先住民族の世界観や、そこでのシャーマニズムの役割に大きな意味を見出し、そうした太古から続く人類の叡智を、現代的な心理学の枠組みの中で新しい光を当てることで、わたしたちの日々の暮らしの中でその知恵を活かす方法を教えてくれます。 この本には「パス・アウェアネス path awareness (道の自覚)