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2017年6月25日日曜日

スティーブ・ジョブズ、LSD、瞑想、そして悟り


スティーブ・ジョブズは、アップル社を作り、業績の悪化から一旦はその自分の会社を追い出されたにも関わらず、再び CEO に返り咲きました。

そして、iphoneやipadをこの世に送り出して、アップルを世界のトップ企業にするという離れ業をやってのけました。

そのジョブズが、LSDについてこのように語っています。

LSDはぼくに本当に深い体験をもたらした。ぼくの人生の中で、一、二を争う重要なできことだ。
LSDは、ものごとには表でも裏でもない、まったく別の見方があることを教えてくれる。効き目が切れると、そのことは思い出せなくなってしまうのだけれど、それが確かにあることは、もう分かっているんだ。
自分にとって何が大切なことなのかを、LSDは再確認させてくれた。金儲けのためじゃなく、本当にすごいものを作り出すこと、そして、ものごとを、歴史の流れや、人類の意識の流れに引き戻しやること。そうしたことを自分の限界までやることの大切さが、LSDのおかげで確かなものになったんだ。

[goodread.comより]

*  *  *

LSDとは一体なんでしょうか?

LSDは、リゼルグ酸ジエチルアミドと呼ばれる化学物質で、人間の精神に対して極めて強力な影響を及ぼすため、日本を含め、多くの国では法律で規制されています。

0.15ミリグラム程度の少量でも、知覚や感覚へ大きな変化をもたらし、幻視の体験が起こったりします。

また、思考が混乱したり、逆に普段の状態では得られない明晰な思考が訪れる場合もあります。

DNAの二重螺旋構造を発見したフランシス・クリックは、そのアイディアを思いついたときに、LSDを使っていたのではないか、という説もあるほどです。
[Andy Roberts "Francis Crick, DNA & LSD" によれば、「都市伝説にすぎない」ということですが]

こうした効果を考えるとき、LSDを「意識の拡張」をもたらす物質と呼ぶこともできるのですが、一方、心理的な準備が十分できていない状態で、服用量が多すぎた場合には、「致命的な結果」につながる場合もありえますので、ただの好奇心から「遊び」で手を出すような物質ではありません。

LSDの服用量とその効果については、英語ですがこちらに詳しい説明があります。

[このリンクはreddit.com のものですが、元ネタはrollitup.orgにあります]

なお、ぼく自身はLSDの経験はありません。

*  *  *

さて、ジョブズはLSDで得た体験を、彼のビジネスにおける壮大なビジョンを実現するために使ったわけですが、それを「悟り」を得るために使おうとする人もいます。

英語の記事ですが、「LSDと悟り」について、とてもおもしろい書き込みを見つけました。

[LSD and the Enlightened State of Mind]

この内容を要約しますと、(書き手は MetaCognition さんなので、メタコさんとします)

・メタコさんは、人生を通して「存在の真実」を求めてきました。

・はじめのうちは自分の思考や、自分の周りの行動について内省的分析していました。

・数年前からマリファナやLSDなどを使って変性意識についての実験をするようになりました。

・けれども、そうした薬物を常用しているわけではなく、たまにマリファナを吸い、稀にLSDを使う程度で、この書き込みをしている時点で、最後にLSDを使ったのは一年近く前のことだといいます。

・そして、メタコさんは数週間前から、一日二回、一回一時間の瞑想を始めたというのです。

・すると瞑想によって、LSDを使っているときとほぼ同じ意識の状態が得られることに気がつきました。

・メタコさんはもともと無神論者でスピリチュアルな考えなどばかにしていましたが、LSDを使うことで、すべての存在がつながり合っていること、毎日の平凡な経験のうちに潜む美しさなどを体験して、いわゆる「悟り」という、神秘的な状態があることを知ります。

・もちろん、その体験は薬の効果が切れればぼやけていってしまうのですが、それが瞑想をすることで再現することができることが分かり、日々瞑想をしているうちに、ごく簡単にその状態に入ることができるようになったというのです。

なお、アップルのジョブズも、LSDの経験があるだけでなく、座禅による瞑想を実践していたことも、ここにひとこと書いておきましょう。

*  *  *

この話を読んで早合点をしてほしくないのですが、これはあくまでメタコさんという個人の体験であって、

「LSDを使ってから瞑想をすれば誰でもこうなれる」

というわけではありません。

メタコさんは、長い内的な探索のあとで、LSDなどの薬物を試し、それも使いすぎて依存するようなことはなく、適度な距離をもって実験をした上で、瞑想に辿り着いたために、すべてのことがうまく咬み合って、極めて稀なほど簡単に、深い瞑想体験を得ることができたものと考えられます。

ネット上を見ていると、薬物の摂取は瞑想に役立たないから、決して手を出してはいけない、というような主張を見かけます。

けれども、このメタコさんのような例を考えれば、あらかじめ薬物で「悟り」あるいは「悟りに似た状態」を体験しておけば、瞑想をしたときにそれを再現しやすくなることは、十分に考えられると思うのです。

もちろん、薬物には法律による規制もありますし、服用量を間違えれば事故にもつながりかねませんので、安易な使用は決してすすめられるものではありません。

けれども、「悟り」を真摯に探求する方が、瞑想だけではある段階を超えられないときに、十分に下調べをしたうえで、自己責任において使う場合には、一つの選択肢としてこれも検討に値すると思うのです。

*  *  *

ここで、ちょっとぼくの経験を書いてみましょう。

LSDに似た効果を持ち、けれどもLSDほど強力な作用は持たないシロシビンという物質があります。

マジックマッシュルームと呼ばれるきのこに含まれる成分で、このきのこを乾燥したものは、2002年に規制されるまでは、日本でも普通に手に入れることが可能でした。

シロシビンは、LSDより作用は少ないのですが、似たような幻覚性があり、

・音の聞こえ方が変わったり(ぼくの場合、音楽がすごくよく聴こえ、ふだん聴こえていない音までくっきり聴こえてきたりしました)、

・ありえないものが見えたり(空の雲が怒ったマシュマロマンのような怖い顔に見えました)、

・不思議な考えがふっと訪れたり(ジャマイカ辺りのレゲエの人たちが、音楽をやりながらマリファナを吸っているイメージがぼんやり浮かんで、あー、彼らもこのきのこから得られるものと同じものを求めて、マリファナをやってるんだなー、と思いました)、

といったことが起こりえます。
(もちろん、人によって体験の内容はそれぞれです)

ぼくは今、ゴエンカさん方式のヴィパッサナー瞑想をしていますが、振り返って考えてみると、その当時のきのこの経験が今の瞑想につながっていることを感じます。

つまり、きのこのときの経験と、瞑想が深まったときの経験には、確かに似たものがあるってことなんです。

とはいえ、ぼくの場合はメタコさんの場合とは違い、瞑想だけで得られる体験は、

「似たものがある」

という程度であって、

「ほぼ同じ」

とまで言えるようなものではありません。

ぼくの場合は、もう一段階の修行か揺さぶりが必要なものと思われます。

*  *  *

というわけで、以上、LSDやシロシビンなどの化学物質が、瞑想の体験に役に立ちうる、という話でした。

ただし、以上の物質は日本では法律で規制されており、また、精神の崩壊や致命的な事故につながる恐れもあるものですので、くれぐれも安易な気持ちでお使いにならないようにお願い申し上げます。

[2017.06.25 ゴエンカさん方式のヴィパッサナー瞑想の総本山、インド・イガットプリにて。那賀乃とし兵衛]

[追記] なお、シロシビンや変性意識については、こちらの記事でも書いておりますので、よろしければお読みください。

[不思議なきのこを科学する - そして瞑想と悟りへ]

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